作ったものを中心に

ジャニーズにハマってしまったデザイナーの私が作った非公式グッズを中心に

幻のファンレター

衣装深読みの記事が全く進まないので、小話を挟んで見ようかと思った次第だ。

 

昨年のDREAM BOYS公演期間中、玉森担の友人Aと公演についてなど色々と語らっていた時にAが「出待ちをして手紙を渡してみたいが、一人では不安だ」と打ち明けてきた。

そもそもジャニーズの世界にも出待ちというものがあるという事をその頃は知らず(アンオフィシャルには有ると思っていたが)DREAMBOYSは唯一公認のものであると教えられ、とても驚いた。

なるほど、一人が不安なら私が(興味本位だけど)一緒に行こうじゃないか!とミーハー心丸出しで出待ち付き添いに立候補したのだった。

 

この舞台の後の出待ちというものは舞台を見た人がお手紙を渡す為に存在するらしい。

その為、お手紙を持って来ない人間は出待ちの列を整備するファンの代表の様な女性達に排除されてしまうという。

また、演者によって並ぶ場所が異なる。

よって、Aの出待ち付き添いをする為には玉森くんに手紙書かなくてはならないという事になる。

 

私は他担である玉森くんに言いたい事というもの自体がピンと来ないし、自担が居ないジャニーズ舞台であの特有のカオスさに目を瞑ることも出来ないので舞台の感想も素敵に書くことが難しい。

なので、とにかくメッセージ性の薄い内容のものをしたためることにした。

 

ファンレターというものを書いた事が無いので、Aにヲタク達は見た目的にはどんなファンレターを用意してくるのかを聞いてみた。

A自身も気になったようで、彼女の友人である亀梨担のBに出待ちの流れと一緒にファンレターについても確認を取ってくれた。

すると、DREAMBOYSのファンレターは少し普通のものとは異なるものであるとの事だった。

 

A5サイズの便箋や色紙に雑誌の切り抜きを貼り、額のようにラインストーンや造花を飾り付けたものを封を開けなくとも読める様に透明のビニール袋に入れ、楽屋でそのまま立てかけて飾れる様にしたものが好まれている。この装飾がファンの間で競争の様に激化しているとAはBから聞いたとのこと。

Aは装飾をとにかく頑張らないと!舞台を見に行く日に間に合わないよ!!と張り切っている様子だった。

こんな手作り合戦が私の知らない所に発生していただなんて!いやがおうにも腕がなる!

私も俄然やる気になってファンレター作りに取り掛かった。

 

玉森くんに関する知識が無さすぎるのでキラキラした腕時計やブランド物の私服をイメージしてギラギラかつ高級感(手が掛かっている様)を感じ取れるファンレターをコンセプトに制作をした。

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まずはセオリー通りに切り抜きを貼った。

高級感には細部の美しさが必須。スプレーのりでピターっと綺麗に。

右端に写っているのはこの頃ハマっていた自作の素材だ(色々な薄っぺらい素材をパンチで打ち抜いてスパンコール状にしたもの)

これの透明なものをひたすらひたすら全面に張り付けて表面のテクスチャーをタイルのようにしてみた。

 

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メッセージは"I've got a crush on you!"あなたに首ったけ!あなたのことが好きでぶっ壊れそうよ!と言った意味合いの言葉。

我ながらとても薄っぺらい。

 

端にはゴールドのブレードをあしらってみた。

ブレードとは生地屋さんに行くとリボンや紐類と一緒に並んでる派手派手の紐みたいな奴のことだ。

スパンコールがついていたり金モールで装飾されていたりして、コンサート衣装の襟元や袖口を飾っているあれだ。

私はあれが大好きなのでしょっちゅう好みの物を見つけては1mずつ買っている。

因みにこれはコンサートで銀テープが取れない悔しさから購入した同じようなフィルム素材を用いられたブレードだ。

軽さと厳つさのバランスがいいなと思ったので使ってみることにした。

そして、ここで終わりにするつもりだったのだが、ふと不安が頭をよぎった。

こんなに頑張って作ったのだから玉森くんにこのファンレターを一瞥はしてもらいたい。しかし、これではまだ本物の玉森担たちの勢いには立ち向かえないのではないか!?

何せ他のヲタク達はラインストーンでキラキラさせたり造花でモリモリにしたりするのでしょう!?と。

 

何かしらブレイクスルーが必要だ、ならばコンセプトに立ち返って戦略を練らなければ!と頭をひねった結果がこれだ。

 

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金の刺繍糸をブレードにくくり付け、ひたすらひたすらフリンジを作る作業。

何とか一晩かけて完成した。160本付けた記憶があるので、結構ハイスピードなのではないかな?と思っている。

完成品がこちら。

 

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これは最早ライオン!これ見た目だけなら王様級の高級感や!!!自分めっちゃ頑張ったなぁ!天下取れまっせ!!と朝方に自分をエセ関西弁で褒めたたえた瞬間だった。

 

裏側が真っ白なのでこちらに真面目なメッセージを書こうかな、と思い文言を考えてみたけどやはり思い付かなかったので照れ隠しでカレーライスの材料を箇条書きにしておいた。

 

で、実際現場に行くと事前にBから聞いた位置に列が出来ており、数人の女性が列を整えたり、説明をしていた。

因みにAは色画用紙にちょこちょことラインストーンや切り抜きを貼った軽快な印象の可愛らしいファンレターを作っていた。

やはり本物の玉森担、愛を感じる出来だった。

 

ふと、近くに居る女の子が手にしているファンレターが目に入った。

ピンク地にさくらんぼ柄の封筒に入ったハガキサイズのものだった。

それを見て私とAは(ヘイヘイヘイそんな地味な手紙じゃお玉は手紙の存在に気づいてくれないぜ?もっと冒険しようぜ!?)とでも言いたげなほど自信満々だった。

列をなし、落ち着いたタイミングで代表の女性達がファンレターを集めると声掛けを始めた。

並んでいる玉森担達が続々とファンレターをカバンから取り出した時にようやく察した。

(あれ、みんな普通の手紙じゃないか…というか、私達のファンレターがもしかして異常?!)

紙袋を持ってどんどん近づく代表の女性。

冷や汗をかく私達。ファンレターをグイーーっと半分に折るA。なるほど、サイズだけでも普通にする作戦か!どれ私も…厚紙つかってるから折っても開いちゃう!!なんならフリンジついてるから折っても定形外!!列は4列まで拡がっているので外側の人に手紙を託す。Aの手紙が紙袋に入った!やった!私のはどうだ!?

………頼むっ…届け……!!!!

 

「ちょっと!なにこれぇ!!こういうの困ります!手紙以外は受け取れないですこういうの持ってきたら次からは帰ってもらいます!これ戻して!」

代表の女性からの大声でのお叱りを受け、傑作のファンレターは私の手元に戻ってきた。

 

大人になると怒られる事も減るので公衆の面前で大声で怒られるというのはダメージがとにかく大きい。

この場から逃げ去ってしまいたい。そう何度も思ったが、出待ちの列は本人がやってくるまで決して抜ける事が出来ない。辛い。

朝はあんなに自信満々だったのに、テンションの落差に自分自身も付いて行けずに放心状態で玉森くんを待った。

出てきた玉森くん自体には目が充血しているな、くらいの感想しか持てなかった。感動するのにも心の余裕が必要なのだ。

 

次はマナーが分かっているから大丈夫かも知れないが、あの体験はもう二度としたくないし、誰かがしているところも見たくない。

数十分程度の待ち時間で玉森くんが出て来てくれた事とAの笑顔が私の大きな救いだった。

 

この一件で学んだのは「情報の更新の大切さ」と「プライドの置き場所」、「やっぱり楽しいものづくり」だ。

情報をしっかり集めてルールに則ったヲタ活をしたい(怒られるのは御免なので)。

ちょっとやそっとじゃめげないハートが欲しい。

渡せなかったけど、作っている時間はとてつもなく楽しかったし幸せだった。AもBも玉森くんもありがとう。

 

 

最後に一応書いておく。

出待ちについてはSNSやブログに書かないようにと現場では何度も何度も警告を受ける。

もしかしたらこの記事も「消してください!」とご指摘をいただくかもしれない。

しかしこの記事は出待ちについてではなく、ファンレターについて書いたものである点、アンオフィシャルなものならともかくあの出待ちがオフィシャル公認であると言うなら書いてもいいのでは?と思った点、私自身があの空気感を苦手としていて、もう出待ちをする気が無い点、来年は恐らく主演も変わるだろうという希望的観測など色々とそれなりに考えて投稿したものなので、ご理解いただけると助かります。