プラスのデザイン-ジャニーズのコンサート衣装に於ける個人的見解
デザイナーが自分の作品を完璧だと思うのは
付け加えるものが何もなくなったときではない
取り去るものが何もなくなったときだ
事実、様々な要素を削ぎ落とし本質を浮かび上がらせるマイナスのデザインはシンプル故にインパクトが強い。スッキリとした印象がおしゃれに映る。*1
逆にジャニーズのコンサート衣装の様に要素を足して足して装飾しながら形を作って行くプラスのデザインはやり過ぎるとゴチャゴチャとしていて意図が伝わりづらい。このよく分からなさがダサさに繋がる。*2
プラスのデザイン全てが悪ではない。
入れ込みたい要素をとにかくどっかりと盛り込んだ事で混沌としたデザインにはあれやこれやと突っ込みどころが生まれる。
なんでそこにバンダナ巻いてる?なんでそんなに丈短いの?みたいな突っ込みどころが人の視線を奪うし、親しみさを感じさせる。
そもそもジャニーズアイドル達は人体のデザインが素晴らしい方が多いので、親しみやすさを出すには衣装がちょっとオカシイくらいが丁度いいのかもしれない。*3
とにかく様々な要素が入り組んで表面的にはもうよく分からなくなっている衣装の意図を色、シルエット、素材など細かなポイントから読み取っていく作業が私は好きだ。
これを私は衣装深読みと名付けている。*4
アイドルは基本作詞作曲をしない。
アーティストやバンドが好きだった頃は歌詞やBPM、音の組み立て方やアルバムの曲順を問題集に、雑誌のインタビュー等をヒントにしてアーティストの思考や意図を読み取ろうとして楽しむ事が多かったが、アイドルだとそれが難しい。
あんなに沢山の雑誌が出ているのに楽曲について喋ることが少な過ぎる。
ソロ曲なら多少話が聞けるかな、と思っても望んでいる深度まで話が至らない事が多い。アルバムの全曲解説も解説になってない事が多い。
実際に作っているわけではないからそうなってしまうのも仕方がないのかもしれない。
しかし、インタビュアー側にも問題があると思う。
一昨年、キスマイのシングル「SNOWDOMEの約束/Luv sick」舞祭組の「棚からぼたもち」リリースの際の、ナタリーでのインタビューが理想的なので見た事のある方も多いとは思うが、リンクをはっておく。
少し話が逸れてしまったが、要はアイドル自身の創作からアイドル達の声を想像したいのに、それがなかなか難しいという事だ。*5
しかし、キスマイの場合は昨年のツアーよりコンサートをセルフプロデュースしている。
コンサートが彼らが主体になっている創作活動だというのならそれは深読みのチャンスだ。
何せコンサートは実際に生で体験出来るしパンフレットも売っている。
雑誌に沢山の写真が載り、しばらくすれば舞台裏までも映し出されたDVDが手に入る。
深読みのための資料が潤沢なのだ。
もしも貴方に身近なヲタク仲間が居るのなら、コンサートが終わって少し間を置いて、冷静になってから仲間達と集まってお茶かお酒でも飲みながら意見交換をしてみるのはどうだろうか。
後日DVDが発売されたらそのおさらいをしたりしても楽しいと思う。
次回からは私が実際にしている衣装深読みの内容に入ろうと思う。
長くなりますがお付き合いいただけたら嬉しいです。
*2:例を挙げるなら秀吉の桃山文化、きゃりーぱみゅぱみゅ辺りだろうか。さらに噛み砕くならゆるキャラ。但し、チーバくんとかくまモンとかかシンプルでプロが作った奴はマイナス側 以下追記→日本美術的にはこのわびさびと真逆のセンスの事を「かざり」と言うらしい。
*3:昨今はマイナス側の衣装も多くなって来ているように思う。例えばHey! Say! JUMPのコンサート衣装は色やシルエットをあえて均一にしているものが多いように見受ける。9人がきっちり揃ったダンスを見せる為のシンプルな衣装が9人のボリューム感をスマートに見せてくれるし、素直にかっこいいし可愛いと思う。
*4:どんなに考えてもそれは私の想像でしかないのでそう名付けた。
*5:KinKi Kids辺りならそういう事も出来そうで、ファンの方が羨ましい。